消去禁止仮処分に対するキャリア各社の対応

掲示板の書き込み等について,投稿者に損害賠償請求する場合,本案提起前に発信者情報消去禁止の仮処分を申し立てることになる。これは発信者情報開示請求訴訟の判決前に,プロバイダによって情報が消去されるのを防ぐためである。この仮処分申立に対するキャリア各社の対応は以下の通り。

・NTT系  審尋期日に代理人弁護士が出頭。
       → 本案判決までの情報保存を約して和解。

・KDDI系 申立後,代理人弁護士から「情報を保存した」旨の連絡が入る。
       → 審尋期日前に申立取り下げ。

・ソフトバンク系 審尋期日に代理人弁護士が出頭。
        「申立却下を求める」旨の答弁書が出される。
         → 仮処分命令により情報保存。  

仮処分への対応1つ取っても,会社の個性が表れていて興味深い。
NTT=正統派,KDDI=現実派,SB=武闘派といったところか。
ただ,どのような立場に立とうと,結局,プロバイダは保存の義務を免れ得ないのが現状である。

田中一哉

1969年東京生まれ。早稲田大学商学部卒。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了(工学修士)。2007年8月 弁護士登録(登録番号35821)。現在,ネット事件専門の弁護士としてウェブ上の有害情報の削除,投稿者に対する法的責任追及などに従事している。

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