海外口座開設とビットコイン

海外サーバに対して法的措置をとる場合,外国企業の資格証明書が必要となる。そして,その取得にあたっては,英語が必須となる上,「郵送かつ小切手のみ受付可能」という地域もあったりして,素人には困難な面がある。とはいえ,海外サーバに対する削除や発信者情報開示請求は今後も増え続けることが予想されるので,その都度,これを外注に出すのは煩わしい。そこで,より安価かつ迅速に取り寄せを行うため,先日,アメリカの銀行に決済用の口座を開設してみた。これで,いくつかの国における証明書の取得手続きがスムーズに進むはずである。

今回,海外に口座を開いて驚いたことは,外国送金手続きの煩雑さと不合理性。高い手数料を取られた挙げ句,「着金は1週間後」と言われたときは,本当に開いた口がふさがらなかった。このような理に適わない障壁が存在する限り,ビットコインのような仮想通貨への需要は増え続けるだろう。

ただ1つ気がかりなのは,先日のMt.Gox破綻がきっかけとなって,国内で「ビットコイン=いかがわしい」というイメージが広がるのではないかということ。思うに,ビットコインは世界を変える力を秘めた恐るべきアイテムである。ここからは,将来,想像もできないような新しい価値や利便性が生み出される可能性がある。だから僕たちは些細な躓きを理由に,これに対し臆病になるべきではない。革新的技術の評価にあたっては,そのマイナス面ばかりでなく,プラス面をも考慮しなければ,正鵠を失すると思うのである。

田中一哉

1969年東京生まれ。早稲田大学商学部卒。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了(工学修士)。2007年8月 弁護士登録(登録番号35821)。現在,ネット事件専門の弁護士としてウェブ上の有害情報の削除,投稿者に対する法的責任追及などに従事している。

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