奇妙な出来事

事務所名の変更届を出した4日後,弁護士会から妙な電話がかかってきた。「新しい名称の由来を説明しろ」という。日弁連の審査部が知りたがっているからと。ここで僕は1つの事実を知る。事務所名の変更には,日弁連の審査を経る必要があったのだ。担当者の話では「ガイドライン」に照らし,不適切な名称に対しては変更を促されることもあるという。

この件でもう1つ驚いたのは,上の要請が,日弁連(東京)→県弁本部(水戸)→県弁支部(土浦)→僕(守谷)という経路で伝えられたこと。疑問があるのなら,日弁連が直接聞いてくればよいと思うのだが。なるほど,霞ヶ関のあの巨大な弁護士会館は,こういう組織と権威を形作るために必要だったのだなと,今更ながらに合点がいった。

結果的には,担当者に名称の由来を説明して,すぐに変更届は受理された。だから,こんなのは取るに足らない出来事なのかもしれない。それでも何処か釈然としないのは,自分の属する組織の嫌な面を見せられた気がしたため。「まるでお役所みたい」と妻は言ったが,その通りだ。

僕は人に指図されるのが嫌いだ。だからこそ,弁護士になったと言ってもよい。にもかかわらず,よりによって日弁連が,遙か上の方から,思い悩んだ末に漸く決めた事務所の名前にケチを付けてくる。こんな不愉快なことはない。「事務所名くらい自由に付けさせろ」。僕が言いたいのは,要するにそういうことだ。

田中一哉

1969年東京生まれ。早稲田大学商学部卒。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了(工学修士)。2007年8月 弁護士登録(登録番号35821)。現在,ネット事件専門の弁護士としてウェブ上の有害情報の削除,投稿者に対する法的責任追及などに従事している。

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