LLMエージェントの組織化と構造化

複数エージェントの組織化・構造化には、以下の4つのアーキテクチャパターンがある。

1. Centralized system(中央集権型システム)

1つの中央エージェント(マネージャー、オーケストレーター、またはトリアージエージェントと呼ばれる)が、ユーザーのリクエストを受け取り、適切な専門エージェントに振り分けるパターン。

  • 特徴: 役割分担が明確で、トップダウン形式の構造。
  • メリット: 組織化されており、各エージェントの責任範囲が分離されている。
  • デメリット: 中央エージェントの振り分け精度にシステム全体の性能が依存する。専門エージェント同士が直接対話できず、情報がサイロ化(孤立化・非連携化)しやすい。
  • 適したケース: カスタマーサポート(トリアージ役が適切な部署へ繋ぐ)など。

2. Hierarchical system(階層型システム)

中央集権型の派生形で、階層が複数レベルにわたるピラミッド型の構造。

  • 特徴: マネージャーエージェントの下にさらにマネージャーがいて、その下に専門エージェントがいる構成。
  • メリット: 複雑なタスクを小さなサブコンポーネントに分解して管理できる。タスクの再利用性が高い。
  • デメリット: 階層が増えるほど、コスト、遅延、通信の複雑さが増す。情報の歪みやデバッグの困難さも生じやすい。
  • 適したケース: 大規模かつ複雑な調査業務など。

3. Decentralized system(非中央集権型システム)

中央の統括役が存在せず、複数のエージェントが直接協力して回答を導き出すパターン。

  • 特徴: エージェント間に壁がなく、全員が対等にコミュニケーションを取る。
  • メリット: 創造性が高く、ブレインストーミングや議論、交渉に適している。
  • デメリット: 調整(コーディネーション)が不足しがちで、会話の流れを管理するのが難しい。
  • 適したケース: 異なる視点からの議論、アイデア出し。

4. Swarm system(スウォーム/群れシステム)

非中央集権型の派生形で、多数の単純なエージェントが並列で動作し、その結果を統合するパターン。

  • 特徴: 創発性(個々の単純な動きから高度な知能が生まれる性質)を利用する。
  • メリット: 非常にスケーラブル(拡張性が高い)で、一部のエージェントが失敗しても全体に影響しない「単一障害点」がない構成。多様なアイデアを一度に生成できる。
  • デメリット: 多数のエージェントを管理するためのオーバーヘッド(コストや制御の難しさ)が大きい。
  • 適したケース: 最適化問題、多様な解決策の候補生成。

パターンの比較まとめ

パターン構造主な利点向いているタスク
Centralized1対多管理が容易、役割が明確ルーティング、定型的な振り分け
Hierarchical階層構造複雑なタスクの分解大規模な研究、多段階の処理
Decentralized網目状自由な議論、相互作用交渉、ディベート、創造的思考
Swarm並列・大量拡張性、多様性、堅牢性アイデアの大量生成、並列処理