サイトの概要
爆サイは「爆サイ.com係」が運営する電子掲示板である。「総投稿数2億突破」と謳っているだけあって,書き込み件数は極めて多い。それに伴い,中傷事件の発生件数も2ちゃんねるに次ぐ水準となっている。
サイトの特徴
- 爆サイの特徴は、接客業に従事する女性の被害者が多い点である。これはこのサイトに水商売系のカテゴリが設けられていることが原因と思われる。このようなケースでは、源氏名(仕事上の通称)に対して中傷が行われるのが通常なので,訴訟等においては,これと被害者との同定可能性が争点となる。
- 爆サイでは、スレッドが地域別にカテゴライズされているため,被害者の同定可能性が高い。このような特徴は被害者のダメージの拡大に繫がる反面,開示請求訴訟においてはむしろ有利に働く(被害者の同定可能性が肯定されやすい)。
投稿記事の削除について
- 爆サイは利用者からメールによる削除依頼を受け付けている(削除依頼について-爆サイ.com)。よって,削除を希望する者は各スレッド下部からリンクされている「削除依頼フォーム」から削除依頼を出すことで,爆サイ側に削除の可否を検討してもらえる。
- 削除依頼はコメント単位のみで,スレッド全体の削除は依頼できない。また,利用規約に違反していないと判断された書き込みについては,削除依頼は拒否される。任意の削除依頼が拒否された場合には、法的手続による削除請求を検討することになる。
投稿者の特定について
- 削除と違い、投稿者の特定は、素人には荷が重い。最初から弁護士に依頼した方が無難である。弁護士による場合,概ね2~3週間で爆サイ側から書き込みのログ(通信記録)が開示される。これにより,投稿者がどのプロバイダ経由で書き込みを行ったか(どのプロバイダと契約しているか)が判明する。
- 投稿者のプロバイダが特定できたら,次はそのプロバイダに対し,発信者情報開示請求訴訟を提起する。その後,1~3回の弁論手続を経て勝訴判決を得れば,プロバイダ側から投稿者の氏名・住所等が開示される。訴訟においては,プロバイダ側も弁護士を付けて争ってくるが,現状では9割以上の確率で開示が認められている。
- 投稿者の特定後は,その者に対して損害賠償請求をすることになる。裁判で認められる慰謝料額はピンキリであるが,10~100万の範囲内に収まることが殆どである。訴訟では,さらにこの金額に弁護士費用を上乗せして請求することになる。
爆サイ側の対応
削除・開示請求に対する爆サイ側の対応は概して良い。とりわけ開示については,仮処分を要せずして開示に応じる稀少なサイトである。よって,爆サイに対しては,通常,裁判所経由の手続きは不要である。もっとも,爆サイ側も常に無条件で削除等の依頼に応じるわけではなく,法的根拠の希薄な請求は拒否されることもある。特に,スレッド全体の削除に繫がる投稿番号0(スレタイ直下のコメント)の削除請求に対しては審査が厳格な印象である。
注意点
- 爆サイにおいては,書き込みが削除されると,ログも消去されるというのが公式発表である(捜査関係事項照会等ご依頼について-爆サイ.com)。よって,投稿者に対する責任追及を希望するのであれば,自分で削除依頼を出す前に,必ず弁護士に相談すべきである。
- 爆サイからはIPアドレス,タイムスタンプのほか,携帯端末の個体識別番号(iモードID,EZ番号など)が開示される。そのため,ケースによっては,プロバイダの通信記録(通常3ヶ月程度で削除される)が削除された後も,投稿者を特定できる余地がある。
- 爆サイの投稿用URLは動的に生成される。よって,ソースコードなどからこれを知ることはできない。もっとも,爆サイへの開示請求時にこれも付加して請求すれば,問題なく開示される。
費用と所要時間
爆サイに関する費用および所要時間の目安は以下のとおり。
【費 用】削除 55,000円
投稿者の特定 275,000円
【所要期間】削除 2~3週間
投稿者の特定 3~6ヶ月
ご相談について
爆サイに関するご相談を無料でお受けしています。
こちらのメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。
サイバーアーツ法律事務所所属。早稲田大学商学部卒。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了(工学修士)。2007年8月 弁護士登録(登録番号35821)。インターネット関連事件を専門に受任している弁護士です。