- Q1 グーグルの代理人から、発信者情報目録に「ただし、裁判所が発令する日において被告(グーグル)が保有し、かつ、直ちに利用可能なものに限る」との文言を付加するよう求められています。従わなければいけませんか?
- A1 そのような要求に従う義務はありません。グーグルにそのような要求をする権利もありません。
- Q2 Q1の要求に従い、発信者情報目録に但書きを付けるとどうなりますか?
- A2 判決・決定に基づく強制執行(間接強制)が事実上できなくなります。
- Q3 Q1の要求を拒否した場合、何が起きますか?
- A3 グーグルは対象となる発信者情報の保有を争ってきます。その結果、審理が長期化します。
- Q4 Q1の要請を拒否すると、グーグルは全ての発信者情報の保有を争ってくるのですか?
- A4 いいえ。2024年3月現在、グーグルが保有を争ってくるのは電話番号だけです。
- Q5 グーグルが電話番号の保有を争ってきた場合、何が争点になりますか?
- A5 プロバイダ責任制限法5条1項の「保有」の意義、立証責任の所在、「保有」の認定に必要な立証の程度が争点になります。
- Q6 グーグルが電話番号の保有を争ってきた場合でも、開示請求は認容されますか?
- A6 認容されます。ただし、そのために要求される主張・立証の難易度は高いです。
- Q7 グーグルが電話番号の保有を争ってきた事件の裁判例を教えてください。
- A7 東京地方裁判所令和3年12月23日、東京地方裁判所令和5年3月22日、東京地方裁判所令和6年3月7日の各判決は、グーグルが電話番号の保有を争った事案について、電話番号の開示請求を認容しています。
- Q8 A3の「保有を争ってくる」とは具体的にどのような主張ですか?
- A8 「発信者情報を保有していることの立証責任は開示請求者にある。本件ではそのような事実は立証されていないから請求は棄却されるべきである」という主張です。
- Q9 A8の主張は「グーグルが現に発信者の電話番号を保有していること」を開示請求者が立証せよと言っているのですか?
- A9 そのとおりです。
- Q10 Q9の「グーグルが現に発信者の電話番号を保有していること」を開示請求者はどのように立証すればよいのですか?
- A10 開示請求者がそのような事実を立証をすることは不可能です。そのような事実はグーグルが電話番号の保有調査を行なって初めて明らかになる事柄だからです。
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サイバーアーツ法律事務所所属。早稲田大学商学部卒。筑波大学大学院システム情報工学研究科修了(工学修士)。2007年8月 弁護士登録(登録番号35821)。インターネット関連事件を専門に受任している弁護士です。