ブログで中傷されたら|運営会社・サーバーへの削除と開示、書いた人への賠償

アメブロ、ライブドアブログ、FC2ブログ、note、はてなブログなどのブログサービスや、レンタルサーバーに置かれた個人のブログに、名指しで不正や犯罪を決めつける記事、過去の逮捕や経歴を掘り起こす記事、コメント欄での罵倒や脅しが書かれることがあります。記事を消すにはブログサービスの運営会社やサーバーの事業者に削除を求め、書いた人に賠償を求めるには、まず発信者情報開示請求で書いた人を特定します。

この記事は、当事務所の裁判例データベースで媒体に「ブログ」を含む判決161件(2013年〜2025年)をもとに、請求の相手方、ブログに特有の論点、開示・削除・賠償の結論と損害額を整理したものです。媒体を問わない削除の基準は「投稿の削除」を、他の媒体の手続は「X」「YouTube」の各記事をご覧ください。

要点

  • 161件の請求は、発信者情報開示を含むものが106件、削除を含むものが21件、損害賠償を含むものが51件です(重複を含みます)。開示は106件中86件で全部または一部が認められ、うち73件は接続プロバイダ(携帯電話会社や固定回線の事業者)を相手にした請求です。
  • ブログサービスには、投稿時のIPアドレスを記録するものと、ログイン時の記録しか残さないものがあります。投稿後のログイン、記事の公開設定、同じブログへの後日の更新の記録から書いた人にたどり着くことを認めた判決がある一方、投稿から9か月余り後のログインの記録では足りないとした判決もあります。
  • コメント欄の書き込みは、記事本文や先に書かれたコメントと併せて読んで誰に向けたものかが判断されます。他人のコメントを消さなかったブログ主の責任は、違法が明白な場合などに限られています。
  • 削除は、運営会社やサーバーの事業者を相手にした8件のうち3件、ブログ主など記事を書いた側を相手にした12件のうち5件で認められています。過去の逮捕や有罪判決を伝える記事は、時の経過などによって結論が分かれます。
  • ブログ主に対する慰謝料は、記事1件につき20万円、記事ごとに10万〜30万円とした判決のほか、約1年間に40本以上の記事を載せた事案で200万円を認めた判決があります。開示請求訴訟の弁護士費用33万円の全額を損害と認めた判決もあります。

1. 誰に何を求めるか

ブログの記事について請求の相手方になるのは、次の4者です。

  • ブログサービスの運営会社 記事の削除と、運営会社が持っている発信者情報(投稿やログインのIPアドレス、登録されたメールアドレスなど)の開示を求めます。
  • レンタルサーバー・CDN・ドメインの事業者 レンタルサーバーで開かれたブログでは、サーバーの事業者が相手方になります。ネームサーバーの管理だけをしている事業者も開示の相手方になるとされ(札幌地方裁判所平成30年6月15日判決)、記事を配信する CDN 事業者に、元のサーバーのIPアドレスの開示と配信の差止めを命じた判決もあります(東京地方裁判所令和5年9月28日判決(令和5年(ワ)第7746号)。ブログではないウェブサイトの事案)。
  • 接続プロバイダ 開示されたIPアドレスを割り当てていた事業者に、契約者の氏名・住所の開示を求めます。
  • ブログ主(記事を書いた人) 特定できれば、記事の削除と損害賠償を直接求めます。

161件のうち開示を求めた106件の相手方は、接続プロバイダが73件(全部または一部が認められたもの63件)、ブログサービスやサーバーの事業者など記事が置かれた側が28件(同20件)です。削除を求めた21件の相手方は、運営会社・サーバーの事業者が8件、記事を書いた側が12件、検索事業者が1件です。損害賠償の51件はブログ主など記事を書いた側に対するものが中心で、運営会社に削除しなかった責任を問うた4件は、いずれも認められていません。このほか、写真や文章を無断で転載されたとして著作権の侵害を主張したものが24件あり、うち21件で請求の全部または一部が認められています。

2. 運営会社が持っている情報

投稿時のIPアドレス 記録の仕方はサービスによって異なります。アメブロの運営会社が投稿時のIPアドレス等と投稿者のメールアドレスを保有していることに争いがなかった事案がある一方(東京地方裁判所令和4年5月13日判決(令和3年(ワ)第29937号))、ホームページ作成サイトで記事投稿時のIPアドレス等を取得できなかった事案(東京地方裁判所令和3年3月26日判決(令和2年(ワ)第25358号))、ログイン時のIPアドレスだけが記録される仕組みのサイトの事案(東京地方裁判所令和3年10月8日判決(令和3年(ワ)第4323号))、運営会社がサーバー設定上の理由で投稿時点のIPアドレスを特定できないと回答した事案(東京地方裁判所令和元年6月26日判決)があります。

氏名・住所とメールアドレス ブログサービスには開設時に氏名や住所の登録を求めないものがあり、アメーバのブログについて保有が認められたのは電子メールアドレスだけ(東京地方裁判所平成26年11月12日判決(平成26年(ワ)第15873号))、LINE のブログサービスについても会員登録に住所・氏名の入力は要らないとされました(札幌地方裁判所平成30年4月27日判決)。ブログの開設者と記事を書いた人が同じとは限らないという運営会社の主張に対しては、ライブドアブログの事案で「本件投稿は,外形上,本件ブログの開設者による投稿との体裁を取って投稿されており,他人による成りすまし等の特段の事情がない限り,本件ブログの開設者により発信されたものと考えられる」として、開設者のメールアドレスの開示が命じられています(東京地方裁判所平成29年8月23日判決(平成29年(ワ)第8879号))。開示されたメールアドレスのドメインを管理する事業者に、さらに開示を命じた判決もあります(東京地方裁判所平成27年5月15日判決)。

記録の仕組みはサービスごとに異なり、変わることもあるため、どの情報を請求できるかは事案ごとに確かめる必要があります。

3. 投稿時のIPアドレスがない場合

投稿時の記録がなくても、次の記録から書いた人にたどり着くことが認められています。

  • 記事の公開設定 いったん非公開にされたブログを再び公開の設定にした者は、記録を完成させた者として「発信者」に当たるとされました(東京地方裁判所平成27年8月25日判決(平成26年(ワ)第28326号))。ただし同じ判決は、その後の最終ログインをした者の情報は、IDとパスワードが共有され得るとして開示の対象にしませんでした。
  • 同じブログへの後日の更新 問題の記事の通信記録が見つからず、同じ名義で後日投稿された記事の送信元が開示された事案で、その送信者が意見照会に対し問題の記事の削除や修正の依頼に応じたと回答し、照会があったことなどをブログにも投稿していたことから同一人物と認め、開示を命じました(東京地方裁判所平成26年11月5日判決)。
  • 投稿後のログイン 個人のブログでは管理用のアカウントを他人と分け合うことは通常考えにくいとして、投稿から相当の期間を隔てたログインの情報の開示を命じた判決(東京地方裁判所令和2年7月30日判決(令和元年(ワ)第31352号))、同一機種の端末で続けてログインされていたことから「たまたま別の者が,同じメーカーの同じ機種を用いて,同じ通信事業者経由で,同じサイトに,同じID,パスワードによりログインするというのは考え難い」として、投稿後のログインをした者と投稿者を同一人物と推認した判決(東京地方裁判所令和3年3月26日判決(令和2年(ワ)第25358号))があります。投稿時刻が分からない事案では、投稿日前日最後と投稿日のログインが対象とされました(東京地方裁判所令和3年10月8日判決(令和3年(ワ)第4323号))。
  • 最新の編集 編集を繰り返した記事について、利用規約で譲渡や貸与が禁じられていることなどから、最新の編集をした者を投稿者と推認しました(東京地方裁判所令和4年10月6日判決)。

一方、投稿の約10か月後の仮処分で開示された、送達時点で最も新しいログインについては、投稿との間に9か月余りの間隔があり、IDとパスワードを複数人で共有していた可能性も否定できないとして開示を認めませんでした(東京地方裁判所平成28年6月29日判決)。投稿後のアクセスの際に何が行われたか分からない事案(東京地方裁判所平成26年3月25日判決(平成25年(ワ)第5968号))や、各ブログに共通の管理画面のURLへの通信しか分からない事案(東京地方裁判所平成27年3月17日判決(平成26年(ワ)第6490号))も、開示が認められていません。逆に、投稿時のIPアドレス等が保有されている場合に、投稿との近接性が明らかでないログイン情報まで求めることは、必要性・関連性がないとされています(東京地方裁判所令和4年5月13日判決(令和3年(ワ)第29937号))。

これらの多くは、ログイン時の通信を開示の対象と明文化した2022年10月施行の改正法より前の判決です(改正後は「ログイン型投稿の開示」参照)。接続プロバイダの通信記録は数か月程度で消えることが多く、投稿から時間が経った記事について、接続プロバイダが通信記録を消去しているとして開示を認めなかった判決もあります(東京地方裁判所平成26年10月6日判決。FC2ブログのメッセージの事案)。

4. コメント欄の書き込み

161件のうち21件は、本文にコメント欄が出てくる判決です。コメントは記事本文や先に書かれたコメントと併せて読まれます。先行するコメントで施設の運営者が原告だとほのめかされていたことから、名称のないコメントも原告を指すとされ(東京地方裁判所平成26年10月3日判決)、先行するコメントに体罰の様子が具体的に書かれていたことから、講師の体罰を前提とするコメントと読まれました(東京地方裁判所平成26年7月11日判決(平成26年(ワ)第2149号))。筆名で書くブログ主に向けたコメントについて、筆名でも同定可能性を認めた判決(東京地方裁判所平成29年11月24日判決(平成29年(ワ)第13426号))もあります。

生命への加害を予告するコメントは、平穏に生活する権利の侵害として、同定可能性を要件とせずに開示が認められています(東京地方裁判所令和5年2月10日判決(令和4年(ワ)第23124号))。記事を削除しなければ殺人を依頼するとのコメントは開示が認められ、中傷をやめるよう忠告する趣旨のコメントは認められませんでした(東京地方裁判所令和4年10月4日判決)。

認められなかった例では、金銭を受け取って記事を書いているのかと問うコメントに、ブログ主がほとんど直後に反論していた事案で、「言論による侵害に対しては,言論で対抗することが表現の自由の基本原理であり」として、権利侵害が明らかとはいえないとした判決があります(東京地方裁判所平成25年9月13日判決(平成25年(ワ)第14566号))。ハンドルネームで書かれたブログで、閲覧者にはブログの作成者と原告との結び付きが読み取れないとして、コメントの開示と賠償を否定した判決もあります(東京地方裁判所平成27年1月30日判決(平成26年(ワ)第3314号))。なお、承認制のコメント欄でブログ主が後からコメントを非公開にしても、掲載を承認していたことにはならず、開示請求は権利濫用にならないとされています(東京地方裁判所平成31年2月7日判決)。

自分のブログに他人が書いたコメントを消さなかったブログ主の責任は、限定的に判断されています。「当該コメントの内容が違法に他人の権利を侵害するものであることが明白であるといった特段の事情が存在する場合に限り」責任を負うとした判決(東京地方裁判所平成27年1月15日判決(平成25年(ワ)第17197号))、違法な侵害を知ることができた相当な理由を求めた判決(東京地方裁判所平成28年1月29日判決(平成25年(ワ)第25952号))は、いずれも責任を否定しました。他方、自分の名義のブログに元従業員をさげすむ記事や写真が載っていた事案では、名義人がこれを黙認していたとして責任が認められています(福岡地方裁判所平成30年9月14日判決)。

5. 記事の読み方と、開示が認められなかった理由

同じブログの他の記事 記事が少なく各記事の題名が画面に表示されるブログでは、読者は全部の記事をひととおり読む可能性が高いとして、他の記事で使われた略称などと併せて、記載が原告を指すと認めた判決があります(東京地方裁判所平成28年1月25日判決(平成27年(ワ)第6124号))。

転記と引用 他人のブログ記事から非難の部分を切り取り枠で囲んで目立たせた転記は、投稿者自身が書いたものと同じに扱われました(東京地方裁判所令和2年7月30日判決(令和元年(ワ)第31352号))。取材相手の発言を引いた記事も「単にそのような主張をしている者がいるという事実を摘示したにとどまるものということはできない」とされています(東京地方裁判所令和4年5月19日判決(令和3年(ワ)第29014号))。

匿名の個人ブログでも信用される 個人のブログは新聞記事等と比べて情報の信憑性が相対的に劣るとしつつ、書いた人自身の体験に基づく具体的な内容であることから、読者が信用しないとまではいえないとした判決があります(東京地方裁判所平成25年12月20日判決(平成24年(ワ)第10940号))。顧客との紛争を顧客の側から書いたブログについては、「瞬時に多数の者が閲覧可能となるインターネット上の発言の影響力にかんがみれば,誇張であることが明白であるような場合を除き,表現が誇張であることは,本件発言の権利侵害性を何ら減ずるものではない」とし、私人間の個別の民事紛争にすぎないとして公益目的も否定しました(東京地方裁判所平成26年11月12日判決(平成26年(ワ)第15873号))。

開示が認められなかった20件 理由を判決理由の骨子により1件1理由で分けると、意見・論評にとどまる、または真実性・真実相当性があるなどで違法性や責任が否定されたものが5件、社会的評価を下げない・権利侵害が明らかでないものが4件、投稿後のアクセスやログインの記録では足りないものが3件、ログの消去などで情報を保有しないものが2件、破産の事実を公表されない利益が優越しないものが2件、時事の事件の報道のための写真の利用として適法なものが2件、同定可能性がないもの、開示を受ける正当な理由がないものが各1件です。最後の1件は、開示を求めた人が自分のブログで、投稿者の名前を公表する、晒し者にするなどと繰り返し書いていた事案です(東京地方裁判所平成25年4月19日判決)。破産した会社の元代表者を詐欺師と呼んだ記事でも、債権者が多数という事情の下で投稿者が真実と信じたことに相当の理由があるとされた例があり(東京地方裁判所令和3年2月25日判決(令和2年(ワ)第7863号))、真実性の考え方は「真実性の抗弁」をご覧ください。

6. 記事の削除

運営会社・サーバーの事業者に対する削除 8件のうち削除が認められたのは3件です。約6年前に不起訴となった逮捕の報道を書き起こしたブログ記事について、Blogger を管理する会社に削除を命じた判決(東京地方裁判所令和6年10月8日判決(令和6年(ワ)第3637号))、刑の言渡しが効力を失った後も氏名検索で表示され続けた記事について、もはや公共の利害に関する事項に係るものとはいえないことが明白だとして削除を命じた判決(名古屋地方裁判所令和6年8月8日判決)、運営会社が任意に削除した後に再び投稿された記事の全体の削除を命じた判決(東京地方裁判所令和2年7月30日判決(令和元年(ワ)第31352号))です。

認められなかった5件は、不起訴となった逮捕から3年程度の記事(東京地方裁判所令和4年1月21日判決)、インサイダー取引の逮捕・起訴を実名で伝えるニュースサイト等の記事(ブログの記事は訴訟の前に削除済み。東京地方裁判所平成29年2月15日判決)、Yahoo!ブログの破産の記事(東京地方裁判所平成29年11月13日判決(平成29年(ワ)第16665号)、その控訴審の東京高等裁判所平成30年7月2日判決)、マンションの一室での殺人事件の発生を伝える記事について所有する不動産会社が削除を求めた事案(東京地方裁判所令和6年4月10日判決)です。過去の逮捕では、経過年数、不起訴か有罪か、報道記事が残っているか、本人の現在の立場が結論を分けています。削除の求めにすぐ応じなかった運営会社の賠償責任については、「ブログの管理者においては、当該表現について不法行為が成立すると判断することができる場合に限り、当該表現を削除する義務を負うというべきである」として否定されました(東京地方裁判所平成28年6月20日判決(平成24年(ワ)第29003号))。

サーバーの領域を貸すだけの事業者については、文言の一部を消すことができずホームページ全体を消すしかないとして削除請求を退けた判決があります(東京地方裁判所平成27年6月16日判決(平成26年(ワ)第32570号)。ホームページの事案)。

ブログ主に対する削除 12件のうち削除が認められたのは5件です。別件訴訟の訴状の文面をブログに載せた事案では、「訴状等訴訟関係書面をインターネット上に公開する行為は,一般市民に対する積極的な情報提供を目的としてなされるものであり,訴訟を遂行する上で必要不可欠な行為とはいえない」として、裁判の公開を理由とする正当化を否定し、削除と賠償を命じました(東京地方裁判所平成27年6月11日判決)。仮処分の執行を逃れるためにレンタルサーバーを変更して掲載を続けた事案では、削除に加えて、記事の複製の掲載差止めまで認められています(東京地方裁判所令和7年3月14日判決)。他方、約20年前の収賄事件の有罪判決を実名で取り上げた記事は、記事を投稿した者への削除請求では、検索結果の削除のように優越が明らかであることまでは求められないとしつつ、事件の社会的意義が失われていないとして削除が認められませんでした(大阪高等裁判所令和4年1月20日判決)。旧ブログの閉鎖で違法な記事が既に消えていたとして、削除請求を退けた例もあります(東京地方裁判所平成28年6月2日判決(平成26年(ワ)第13397号))。

7. ブログ主の特定と、同じ人による複数の記事

意見照会への回答 接続プロバイダの意見照会に、契約者とは別の人が自分が書いたと回答することがあります。その場合は回答書記載の氏名等の開示が命じられ、契約者の情報までは必要性が乏しいとされています(東京地方裁判所令和4年8月5日判決(令和3年(ワ)第33588号)、東京地方裁判所令和4年10月6日判決)。

賠償訴訟での投稿者の認定 前の投稿の開示結果や投稿者の表示の共通性から、後の投稿も被告によるものと認めた判決(東京地方裁判所平成26年9月29日判決(平成24年(ワ)第18393号))、他の運営者の投稿だと主張しながらその運営者を明らかにしなかった被告について、他の記事も被告の投稿と認めた判決(東京地方裁判所平成26年11月28日判決(平成26年(ワ)第15271号))がある一方、9件の表現行為のうち、開示で被告の氏名が判明した1件だけを被告の発信と推認した判決もあります(東京地方裁判所平成28年4月8日判決)。開示を受けていない記事は、内容や写真が共通していても、それだけでは同じ人の発信と認められませんでした。

複数の記事の扱い 短い時間に続けてされ題名や内容が共通する投稿は、全体を一つのものとして社会的評価の低下を判断した判決があります(東京地方裁判所平成26年9月29日判決(平成24年(ワ)第18393号))。他方、同じブログのコメント6件について、仮に同一人物の投稿であっても、個別には権利侵害の明白性が認められないものまで開示の対象にはできないとした判決もあります(東京地方裁判所令和3年1月22日判決(令和2年(ワ)第10636号))。

8. ブログ主に対する損害賠償の額

ブログ主など記事を書いた人を相手にした判決で認められた額の例は、次のとおりです。

  • 選挙に立候補した元議員を中傷する虚偽の記事を業者がブログに載せた事案で、記事1件につき慰謝料20万円・弁護士費用2万円、6件で計132万円。広く読まれる蓋然性が高いとはいえず、閲覧回数の増加の証拠もないことなどが考慮されました(東京地方裁判所平成27年8月26日判決(平成26年(ワ)第15913号))。
  • 弁護士夫婦を繰り返し批判した記事について、慰謝料を記事ごとに10万〜30万円とし、似顔絵を用いた記事や家族関係にまで触れた記事を加算(東京地方裁判所令和7年3月14日判決)。
  • 飲食店経営者を薬物取引の元締めとしたブログ記事で慰謝料80万円。記事のアクセス数や、問題を認識した直後の削除などが考慮されました(東京地方裁判所平成26年8月20日判決)。
  • 掲示板の投稿を加工して約1年間に40本以上のまとめ記事を載せたブログの運営者に200万円。表題の作成や文字の強調などで引用元とは独立して新たに人格権を侵害したとされ、一連の掲載行為を全体として算定しました(大阪地方裁判所平成29年11月16日判決)。
  • ブログのコメント欄に競技の規則違反を書いた同じ競技の選手に、慰謝料計80万円、開示請求訴訟の弁護士費用33万円、本訴の弁護士費用11万3000円の計124万3000円(東京地方裁判所令和6年8月6日判決(令和4年(ワ)第30023号))。
  • 少額の例として、原告自身が被告の名誉を毀損する書き込みを一部行っていたことなどから慰謝料10万円にとどめた判決(東京地方裁判所平成29年11月2日判決(平成28年(ワ)第32978号))があります。

アクセス数や広く読まれる蓋然性、記事が既に削除されたかのほか、開示を認める判決の確定後に同じ趣旨の投稿を重ねたこと(東京地方裁判所平成26年9月29日判決(平成24年(ワ)第18393号))も、額を定める際に考慮されています。開示にかかった費用は、上記の判決のように全額が認められる場合もあれば、仮処分の実費と弁護士会照会の手数料などだけが認められた判決(東京地方裁判所平成26年11月28日判決(平成26年(ワ)第15271号))もあります。詳しくは「特定費用は取り戻せるか」「誹謗中傷の慰謝料・損害賠償額の一覧」をご覧ください。

9. ご相談について

ブログの記事やコメントの削除、書いた人の特定と賠償の請求をご検討の方は、メールフォームからご相談ください。原則として翌営業日までに回答します。記事の URL や画面の保存などの証拠の保全は、ご相談の後に当事務所で行います。費用についてはFeeをご覧ください。

関連する解説

10. 引用判決の一覧