性的な画像・中傷の投稿者特定と削除・賠償 判決246件の整理

裸の写真や性的な動画を無断で載せられた、顔写真を性的な画像と合成された、性的な関係や性風俗の仕事について掲示板に書かれた。こうした被害は人に話しにくいものですが、裁判所はこれらの投稿の多くについて、投稿者の特定(発信者情報開示)や賠償を認めています。書かれ方によって認められなかった例もあります。

この記事は、当事務所の裁判例データベースのうち、性的な内容が中心の投稿が争われた判決246件(2013年〜2025年。民事244件、刑事2件)を読み、名誉毀損・名誉感情・プライバシー・肖像権のどれで扱われたか、開示・削除・賠償が認められたか、源氏名で働く人への投稿がどう扱われたかを整理したものです。悪口一般については「名誉感情の侵害」、写真の無断使用一般については「写真の無断転載と肖像権」の記事にまとめています。

要点

  • 個人が請求した227件のうち、請求が全部認められたものは107件、一部認められたものは97件、全部認められなかったものは23件です。裸や性的な画像・動画、性的な合成画像、なりすましによる性的な投稿の28件に限ると、全部認められなかったのは1件です。
  • 裸や性的な画像はプライバシー権(盗撮写真や私的な写真の転載は肖像権)、顔写真の性的な合成は名誉感情・肖像権・名誉権、売春や不倫などの性的な事実の摘示は名誉権、性的指向や性風俗の仕事の暴露はプライバシー権、性的な罵倒は名誉感情の侵害として扱われています。
  • 性風俗店や接客業で働く人への投稿は107件で、うち93件が源氏名や店での呼び名に触れています。店名と源氏名で一人に絞れれば本人への投稿と認められます。ただし、性風俗店で働いていること自体の摘示や、サービス・容姿への感想は、違法とされないことがあります。
  • 投稿者に賠償を命じた個人の6件の慰謝料は10万円から250万円です。元配偶者が性的な写真を掲示板に載せた事案では、慰謝料150万円が認められています。
  • 私的な性的画像の公開は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の犯罪に当たります。データベースには、名誉毀損罪とあわせて実刑とした判決があります。

1. 裁判例の全体像

246件を投稿の内容で分けると、性風俗店・接客業で働く人への投稿107件、一般の個人の性的関係・不倫・異性関係の摘示57件、性的な侮辱30件、裸や性的な画像・動画の投稿12件、なりすましによる性的な投稿11件、顔写真の性的な合成5件、性的指向・性的嗜好の摘示5件、会社や店の経営者が事業者として請求したもの17件、刑事判決2件です。民事の244件のうち、投稿者に損害賠償を求めたものは7件で、残りの多くは発信者情報開示を求めたものです。媒体は、個人の請求227件のうち(重複あり)爆サイ.com が73件、X(旧Twitter)が34件、ホストラブが26件、5ちゃんねる・2ちゃんねるが22件です。画像・合成・なりすましの28件では X が13件を占めます。

個人の請求が全部認められなかった23件の理由は、投稿が性的な事実を示したとは読めない、または社会的評価を下げないとされたものが9件、サービスや容姿・性格への主観的な評価とされたものが6件、本人を指すと分からないとされたものが4件、すでに公開されていた情報とされたものが2件、年齢の偽りへの指摘とされたものが1件、ログインと投稿の結び付きが認められなかったものが1件です。

2. 裸や性的な画像・動画を載せられた場合

裸や性的な画像の投稿は、主にプライバシー権の侵害として扱われています。X に全裸の動画を載せられた事案で、東京地方裁判所令和4年7月12日判決(令和4年(ワ)第3515号)は「当該状態は、他人にみだりに知られたくない原告のプライバシーに属する情報であることは明らかである。」とし、動画が有料のサイトで販売されていたとしても、無料で誰でも見られる場所への公開で知り得る人の範囲が大きく広がったとして、侵害を否定しませんでした。知人にダイレクトメールで送った全裸画像を投稿された男性の事案でも、侵害は明らかとされています(同平成29年12月15日判決(平成29年(ワ)第19058号))。店の名前のスレッドに性的な画像を載せられた事案では、店での勤務中の写真は私生活の写真とはいえないという反論を退け、「このような画像をインターネット上で誰もが閲覧することが可能な状態に置くことは,原告のプライバシー権を著しく侵害するものといえる」とされました(同令和3年5月7日判決(令和2年(ワ)第25716号))。

顔が写っていなくても本人と分かるか 東京地方裁判所令和5年2月10日判決(令和4年(ワ)第25649号)は、顔の判別が難しい写真でも、身体の目立つ特徴や年齢層の表記、近い時間の別の投稿から、周りの人には本人と分かるとしました。モザイクが薄く知人なら分かるとした判決(前記の同令和4年7月12日判決(令和4年(ワ)第3515号))、写真が不鮮明でも同時に載った顔写真と比べて同一人物と認めた判決(同令和4年11月17日判決(令和3年(ワ)第30034号))もあります。配信者の活動名のスレッドに性的な写真が投稿された事案では、本人を写したものと受け取られるのが通常で、「このことは、上記写真で撮影された人物が原告であるか否かという客観的事実のいかんによって左右されるものではない」とされました(同令和4年12月20日判決(令和4年(ワ)第17823号))。

肖像権で扱われた例 なりすましアカウントで入浴中の盗撮写真を載せられた事案(東京地方裁判所令和4年10月31日判決(令和4年(ワ)第11641号))、交際相手を装う Instagram のアカウントに私的な写真を閲覧者の性的な関心を引く形で使われた事案(同令和4年4月27日判決(令和3年(ワ)第29347号))は、肖像権の侵害とされました。性的な画像を添えて本人の動画を含む個人情報を販売しようとした投稿も、プライバシー権の侵害とされています(同令和5年7月28日判決(令和5年(ワ)第8294号))。

元配偶者・元交際相手による投稿 東京地方裁判所平成28年12月14日判決(平成28年(ワ)第7388号)は、配偶者だった被告が撮影した性的な写真を掲示板に複数回載せた行為を、プライバシー権、肖像権、名誉権等の侵害とし、削除依頼の後も訴訟中に再び掲示されたこと、「インターネット上の掲示板に掲示された画像は容易に他者がコピーし,転載したり保存したりすることができることからすれば,二次被害の発生も懸念される。」ことを考慮して、慰謝料150万円と弁護士費用15万円を認めました。同令和3年3月29日判決(令和2年(ワ)第24857号)は、裸や性的な画像の無断公表は受忍限度を超え、性的な動画の無断公表は私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の犯罪に当たるとしています。

認められなかった1件と、手続上の制約 画像の28件で全部認められなかったのは、配信の一場面の画像に印を付けて加工し、配信中に体の一部が見えたらしいと書いた投稿を、引用して広めた投稿の事案です。東京地方裁判所令和5年1月17日判決(令和4年(ワ)第23752号)は、本人が配信の企画として濡れた白い水着が視聴者に見られる限度では許容していたとし、透けて見えたかどうかは結果にすぎず社会的評価は下がらないとしました。X ではログインの記録から投稿者をたどるため、投稿の直前のログイン1件に限って開示を認め、他を退けた判決が複数あります(前記の同令和3年3月29日判決(令和2年(ワ)第24857号)など)。

3. 顔写真を性的な画像と合成された場合

合成画像の5件は、すべて開示が認められています(うち2件はログインの一部だけ)。扱いは判決によって分かれます。X で顔写真を性的な画像に合成された女性の事案で、東京地方裁判所令和4年11月17日判決(令和4年(ワ)第13132号)は「合成写真であることが明らかであるとしても、本件画像は、強い羞恥心や不快感を抱かせその自尊心を傷つけるものと認められる」として名誉感情の侵害を認め、5ちゃんねるで大学生の顔写真を合成された事案も名誉感情の侵害とされました(同令和5年3月22日判決(令和4年(ワ)第29606号))。親族への返信の形で合成画像を載せた投稿は「原告の肖像権,また社会通念上許される限度を超える侮辱行為であるといえる」とされ(同令和4年12月1日判決(令和4年(ワ)第11543号))、承諾なく顔写真を性的な文脈で使った投稿を肖像権の侵害とした例もあります(同令和4年2月24日判決(令和3年(ワ)第22139号))。一見して合成と見分けられない画像については、本人が自分で撮って載せたという印象を与えるとして、名誉権の侵害とした判決があります(同令和4年1月20日判決(令和3年(ワ)第24824号))。

4. なりすましで性的な投稿をされた場合

本人の名前や写真を使ったアカウントで性的な投稿をされた11件では、全部認められなかったものはありません。東京地方裁判所令和5年7月13日判決(令和3年(ワ)第28485号)は「第三者がある者になりすまして、なりすまし対象者が発言していない内容の、その評価を低下させる発言をすることは、なりすまし対象者に対する名誉毀損に該当する」とし、なりすましは真実の摘示とはいえないとしました。X で氏名・所属・写真を使って性的な投稿を繰り返された事案では、氏名権と名誉権の侵害が認められ、悪ふざけだと分かるという反論は退けられています(同令和4年5月6日判決(令和3年(ワ)第30634号))。爆サイ.com で本人の服装や勤務先を添えて性的な誘いに応じるかのような投稿を短時間に繰り返した事案(同令和4年7月28日判決(令和3年(ワ)第33121号))、出会い系サイトに元交際相手との私的な写真を使って投稿された事案(同令和4年12月23日判決(令和4年(ワ)第14099号))も同じです。本名と顔写真のアカウントでアダルト動画を含む投稿を多数リツイートされた事案では、開示は退けられたものの、「本件各記事が閲覧可能な状態に置かれる限り原告の権利侵害が継続し、そのために原告に生ずる不利益は多大であると認められる」として、各リツイートの削除が命じられました(同令和5年11月13日判決(令和3年(ワ)第13431号))。なりすまし全般は「なりすまし」の記事をご覧ください。

5. 性的な関係・不倫・性的指向を書かれた場合

多数の異性と性的な関係を持っている、不倫をしている、といった投稿は、名誉権の侵害として開示が認められるのが通常です。東京地方裁判所平成29年10月31日判決(平成29年(ワ)第13213号)は「私人である原告の性的関係に関する情報が公共の利害にかかわるものであるとか公益性を有するものであるということができないのは明らか」としています。歯科医師の不倫の投稿についても、不倫の事実は歯科医としての技術や治療と関係がなく公共性は認め難いとされました(同平成27年3月20日判決(平成26年(ワ)第29479号))。

認められなかったのは、誰のことか分からない投稿と、事実を示したとはいえない投稿です。市役所の課名と姓を挙げた不倫の投稿のうち課名だけのものは、「同課に勤務する男性は,原告のほかに複数名存在することが認められる」として退けられました(東京地方裁判所令和3年2月24日判決(令和2年(ワ)第21954号))。先行する投稿を受けて、本当なら意外だと述べただけの投稿は意見・感想とされています(同令和3年10月6日判決(令和2年(ワ)第27445号))。勤務医の不倫を示す投稿について、本人の陳述書にも事実に反するとの記載がなく、違法でなくなる事情がないことの立証がないとして退けた例もあります(同令和5年4月27日判決(令和4年(ワ)第29752号))。

性的指向の摘示は、5件すべてで開示が認められています。東京地方裁判所令和3年12月17日判決(令和3年(ワ)第14512号)は、性的指向の摘示そのものは名誉を毀損する表現ではないとしつつ、差別や偏見がなお残る現状から、噂があっても「何らの正当な理由あるいは合理的な理由もないのに,これを公表することは,プライバシー権を侵害するものと認めるのが相当である」としました。同じ趣旨の投稿を名誉権の侵害とした判決もあります(同令和2年10月8日判決(令和2年(ワ)第1366号))。なお、経営者と従業員の不倫や性的な関係の投稿で会社自身が請求した事案では、会社の評価は下がらないとして退けられた例(東京高等裁判所平成30年4月19日判決(平成29年(ネ)第5614号))と、会社に20万円の賠償を認めた例(東京地方裁判所平成28年2月17日判決(平成27年(ワ)第9504号))があります。

6. 性的な侮辱

事実を示さない性的な罵倒は、名誉感情の侵害として扱われます。性的な侮辱が中心の30件で全部認められなかったのは1件で、それも先行投稿の言葉を繰り返して疑問を示した引用と読まれたものです(東京地方裁判所平成28年5月25日判決(平成27年(ワ)第34809号))。本人を攻撃するために数年続いたスレッドで性的倒錯者を意味する語を使った投稿について、東京高等裁判所令和7年11月19日判決(令和7年(ネ)第3927号)は「特段の事情のない限り、社会通念上許容される限度を超える侮辱というべきである」としました。元市議会議員への投稿のうち、政治活動への批判は論評として違法でないとされ、性的な行為を求める投稿だけが開示された例があり(東京地方裁判所令和3年6月24日判決(令和3年(ワ)第6981号))、本人の先行する発信をきっかけにした揶揄と見る余地があるとして2人のうち1人の請求を退けた例もあります(同令和3年6月29日判決(令和2年(ワ)第29852号))。

7. 性風俗店・接客業で働く人と源氏名

源氏名でも本人と認められるか 東京地方裁判所令和3年5月26日判決(令和3年(ワ)第1010号)は、店でその源氏名を使っているのが原告だけで、店のサイトにも載っていることから、源氏名の記載は原告を指すとしました。源氏名を冠したスレッドへの投稿は「当該スレッドに投稿された投稿は,特段の事情が認められない限り,原告に関する投稿であると推認される」とされ(同令和3年8月24日判決(令和2年(ワ)第28670号))、店名と源氏名のスレッドで開示請求を却下した決定を取り消した判決もあります(同令和6年3月22日判決(令和5年(ワ)第27348号))。他方、元勤務先の源氏名のスレッドでも、閲覧者が該当者は原告で「それ以外にいないと理解するとは限らない」として退けた判決(同平成27年4月7日判決(平成26年(ワ)第34781号))、店を辞めた後の投稿で特定できる人が限られるとした判決(同令和3年2月26日判決(令和2年(ワ)第25070号))があります。本名を挙げた投稿は、本名を公表していないため店の関係者にも原告とは分からないとして退けられた例があり(前記の同令和3年8月24日判決(令和2年(ワ)第28670号))、源氏名と本名を結び付ける投稿は、勤務の事実を明かすプライバシー侵害とされています(同平成27年5月26日判決(平成27年(ワ)第659号))。同定可能性は「ハンドルネームへの中傷と同定可能性」もご覧ください。

何が違法とされるか 店で禁止された性的サービスをした、売春をしているという投稿は、名誉毀損とされます(東京地方裁判所令和5年5月16日判決(令和4年(ワ)第31360号)など)。一方、性的なサービスを提供しているという限度の摘示は、性風俗店に勤務している以上評価を下げず真実でもあるとされ(同令和4年3月28日判決(令和3年(ワ)第28535号))、避妊具を着けない接客を示唆する投稿は、「避妊具の着用の有無はそもそも売春防止法において禁止されている売春行為(対償を受けて不特定の相手と性交をする)の成否に何らの影響も与えるものではない」として退けられました(同令和6年7月30日判決(令和6年(ワ)第6844号))。ホストの交際相手だと吹聴しているという投稿も、「性風俗店の従業員が交際をしていないなどといった信用が社会的に存在するものでもなく」として、評価を下げないとされています(同令和6年2月27日判決(令和5年(ワ)第27278号))。

仕事を知られたくない場合 性風俗店で働いていることを知人に知られる投稿は、プライバシー侵害とされています。店の源氏名のブログへのリンクを知人らに返信で送った投稿は「原告の顔見知りの知人らに対して,原告が性風俗店で勤務している事実を暴露するに等しい行為と評価できる」とされ(東京地方裁判所令和3年7月9日判決(令和元年(ワ)第18019号))、音楽グループのファンのスレッドで勤務を示した投稿も同様です(同令和2年7月30日判決(令和元年(ワ)第30806号))。ただし、本人が勤務を示すアカウントを誰でも見られる形で公開していた事案では、「利用者の限定アカウントにすることも可能であったのであり、特段そのような限定をしていなかった以上、もともと広く世間一般に公開され得るものであったというべきである」として退けられました(同令和5年2月16日判決(令和4年(ワ)第28071号))。

容姿やサービスへの書き込み 「一般に、役務提供の評価について、客観的・絶対的な評価基準はなく、基本的には、個々人の主観的・相対的評価によるもの」として、料金に見合わないといった投稿は退けられています(東京地方裁判所令和4年8月22日判決(令和4年(ワ)第9759号)、同令和4年12月19日判決(令和4年(ワ)第24507号))。自ら公表した容姿や身体的特徴についても、「風俗店の従業員が,容姿や身体的特徴について自ら公表している場合,当該事項の当否等について評価にさらされ得ることを予定しているものと解される」とされました(同令和3年6月24日判決(令和2年(ワ)第27949号))。それでも、容貌を強く揶揄する投稿を連続した事案は、「風俗店の従業員であるという原告の属性などを考慮したとしても」限度を超えるとされています(前記の同令和6年3月22日判決(令和5年(ワ)第27348号))。匿名の掲示板は信用性が低いという反論は、「本件掲示板は、その匿名性等からして信用性が高い情報ではない」と受け入れた判決(前記の同令和6年7月30日判決(令和6年(ワ)第6844号))がある一方、「投稿内容に根拠がないことや抽象的であることは,読者をして,信用性がないと評価する根拠にはただちにならない」として退けた判決(同令和4年2月3日判決(令和3年(ワ)第21938号))もあり、分かれています。

8. 損害賠償の額

投稿者に賠償を命じた個人の6件の慰謝料は、10万円、20万円、50万円、80万円、150万円、250万円です。

投稿者の特定にかかった費用は、6件中3件で全額、1件で記事の数で按分した額が認められています。賠償額の全体は「誹謗中傷の慰謝料・損害賠償額の一覧」にまとめています。

9. 削除と刑事手続

削除 投稿の削除は、サイトへの削除の申出のほか、裁判所の仮処分や訴訟で求めます(前記の同令和5年11月13日判決(令和3年(ワ)第13431号)は、訴訟でリツイートの削除を命じたものです)。私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律4条は、私的な性的画像について、サイトの運営者などが発信者に削除への同意を照会し、反論がなければ削除しても発信者への責任を負わないとされるまでの期間を、通常の7日から2日に短くしています。手続は「投稿の削除」の記事をご覧ください。

犯罪になるもの 同法3条は、撮影対象者を第三者が特定できる方法で私事性的画像記録を不特定または多数の者に提供する行為、私事性的画像記録物を公然と陳列する行為などを罰し、法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。これらの罪は告訴がなければ起訴されない親告罪で、告訴は犯人を知った日から6か月以内にする必要があります。秋田地方裁判所平成30年3月28日判決(平成30年(わ)第13号)(刑事)は、同じ被害者への事件で執行猶予中の被告人が、掲示板への書き込みと、氏名を示す画像とともに性的な画像・動画を公開した行為について、名誉毀損罪と私事性的画像記録物公然陳列罪の成立を認め、懲役1年6月の実刑としました。福岡地方裁判所平成29年3月22日判決(平成28年(わ)第1099号)(刑事)は、複数の被害者の私的な画像を本人が分かる情報とともに会社の業務として公開した事案で、ネットに載せる手口は「ひとたび拡散した情報はコントロールすることが困難で,名誉毀損の方法としては極めて悪質である」としつつ、被害者全員との示談などから懲役刑に執行猶予を付け、罰金刑を併科しました。性的な事実を書く投稿は名誉毀損罪、性的な罵倒は侮辱罪の対象になり、盗撮した写真の投稿では、撮影そのものが性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(2023年施行)の対象になります。刑事告訴の流れと期間は「刑事告訴」の記事にまとめています。

10. 引用判決の一覧

11. ご相談について

性的な画像や合成画像を載せられた方、性的な関係や仕事について書かれた方、源氏名で働いていて店のスレッドに書き込まれた方は、メールフォームからご相談ください。原則として翌営業日までに回答します。投稿のURLと、どの記載が本人を指すと分かる手掛かりになっているか、書かれた事実が事実と違うかどうかをお知らせいただければ、上記の判決に照らして、開示や削除、賠償の見通しをお伝えします。画像そのものを送っていただく必要はありません。見通しが立たない投稿については、その旨をお伝えします。費用についてはFeeをご覧ください。

関連する解説

資料

  • 民法709条・710条(不法行為)、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)5条1項・2項(開示請求の要件、ログイン時の通信に係る開示)、刑法230条(名誉毀損)、231条(侮辱)、刑事訴訟法235条(告訴期間)
  • 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律2条(定義)、3条(私事性的画像記録提供等・同物公然陳列等の罪、親告罪)、4条(送信防止措置に関する特例)、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(令和5年法律第67号)
  • 集計の対象: 当事務所の裁判例データベースから、一行要約・結論・本文に性的な内容を示す語を含む判決を候補とし、要約と本文を読んで性的な内容が中心の事案に絞った246件(東京地方裁判所が238件)。BitTorrent などによる成人向け動画の著作権の事案、性犯罪や性的な加害をしたとの指摘・逮捕報道をめぐる事案、性的な内容が付随的な事案は除いた。全部認められなかった事案は判決理由の骨子まで読んで理由を分類した。同じ事件の一審と控訴審は別に数えている。